関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫の異常により関節に炎症がおこる病気です。
自己免疫疾患の1つで、普段は体内に侵入してきた細菌やウィルスなどの外敵から身を守るシステムが、誤って自分自身の身体を攻撃してしまう病気です。
症状は、関節を動かすときの痛み、関節の腫れ、圧痛、朝のこわばりが主です。
関節の痛み・腫れは1か所だけでなく多くの関節に、左右対称に起こることが多いです。
症状が進むと、関節の破壊や変形が生じます。
関節リウマチは関節の痛み・腫れなどの症状ばかりでなく、内臓にも色々な障害を起こすことがあります。
皮膚(皮下結節・皮膚の色の変化など)、肺(咳・息切れなど)、心臓(むくみ、息苦しさ)、眼、手足のしびれ、貧血、腎臓病、胃痛、骨粗鬆症など。
中医学においては、痹病の概念に入り、基本的には風邪・寒邪・湿邪といった外邪によるものと考えられています。ですが、根本的にはストレスや飲食の不摂生、疲労などからくることも多くあります。
関節リウマチといってもその原因は人それぞれ異なります。
問診やお身体の診察などから診断をして、下記のように分けてそれぞれに合った鍼灸治療を行っていきます。
〈中医学でみる痹証の弁証分類〉
①風邪偏勝(行痹)
衛陽がしっかりしないために毛穴が広がって風邪が侵入し、皮膚・肌肉・経絡などに入ること。痛みが一定の部位に定まらないのが特徴。
②寒邪偏勝(痛痹)
陽気不足で寒邪を受け、手足関節が冷えて痛み、固定的の激しい痛みが出る。温めると軽減する。
③湿邪偏勝(着痹)
湿邪が手足に停滞し、関節・肌肉に腫脹が起こる。関節が重だるく痛み、固定性で皮膚のしびれ感を伴うことがある。
④熱邪偏勝(熱痹)
暑熱・燥火の邪を受けたり、あるいはもともと体内に内熱があり、風寒湿の邪が深く裏に入り熱と化す。それにより関節肌肉が赤く腫れあがって熱痛が起こる。関節の疼痛・発赤・腫脹・熱感がある。
⑤湿熱阻絡
関節の発赤・腫脹がある。関節が重だるく痛む。
⑥痰濁痹阻
痰濁により流通が阻滞されて生じる。重だるい。
⑦瘀阻絡道
瘀血により流通が阻滞されて生じる。刺すような痛み。
⑧気血両虚
気血がともに虚したために、経脈を濡養し温められないと痛みが生じる。
⑨肝腎両虚
肝腎がともに虚して筋骨が栄養されないと痛みが生じる。筋肉・関節が弛緩あるいは拘縮してだるく痛む。
陰虚の場合は関節の熱感と痛みがあり、夜間に痛みが増強する。
陽虚の場合は両足の浮腫や手足の冷えなどを伴う。
⑩肝鬱痹
ストレスや緊張など情志の抑鬱により気滞を生じ、肺衛の気がうまくめぐらないために常に外邪が入りやすくなる。
【参考図書】
「鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇」
「症状による中医診断と治療」
「基礎中医学」
「泰山8」
「実用中医内科学」