坐骨神経痛について
坐骨神経痛について
【症状】
・おしりや下肢に痛みやしびれがある(まれに鼠径部(足の付け根)にも)
・長時間立っているのが辛い
・歩くと痛みが出て歩けなくなるが、少し休むとまた歩ける
・排尿障害・便秘 など。
坐骨神経痛は、病名ではなく、頭痛や腹痛と同じように痛みをあらわすことばの1つです。
腰から足にかけて走る坐骨神経に沿って、症状があらわれます。
痛みの程度はズキズキ痛んだり激痛が走ったり、また冷感やだるさ、重さを感じたりさまざまです。
坐骨神経痛の原因となるのは、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどが多く見られます。
<腰部脊柱管狭窄症>
腰椎の脊柱管が狭くなる病気。
脊柱管の中には脊髄や馬尾という神経の束が収まっていて、脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され坐骨神経痛が出現します。
脊柱管が狭くなるのは、椎骨にとげのような突起ができたり、脊柱を支える靭帯が肥厚したり、椎間板が薄くなったりして生じます。
<腰椎椎間板ヘルニア>
椎骨と椎骨の間でクッションの役割をしている椎間板の変形により、神経を圧迫して坐骨神経痛が出現します。
椎間板に十分な弾力があり、衝撃を吸収しているから、普段私たちは体を曲げたりねじったりすることがスムーズにできています。
椎間板ヘルニアは脊柱のどこでも起こる可能性はありますが、スポーツや労働などで負担のかかりやすい腰は生じやすい部位です。
☆東洋医学的にみると☆
西洋医学では、坐骨神経痛の原因は上記のように神経の圧迫としていますが、東洋医学では全身のバランスが崩れて現在の症状が出ていると考えるので、そのバランスが崩れた原因は何かを診ていきます。なので、同じ坐骨神経痛の症状が出ていても、原因はさまざまあり、患者さんごとに治療もそれぞれ異なってきます。
レントゲンでみると脊柱管の狭窄やヘルニアの所見が出ていても、痛みとして自覚する人と痛みを感じていない人もいるのも実際のことです。
では、考えられる原因は何か?
冷えや湿気など外邪の影響を受けている場合、
ストレスや緊張、強いプレッシャー、また運動不足などにより気滞を生じている場合、
気滞が慢性化して瘀血を生じている場合、
加齢や過労、生活の不規則などにより気を消耗している場合、
痰飲・湿痰(体内の余分な水分)が阻塞している場合
などが考えられますし、これらが複合していることもあります。
それぞれの原因をどうやって探っていくか?
まず大事なのは、患者さん自身が知覚している自覚症状です。
同じ坐骨神経痛といっても、張るような痛みだったり、重い痛みだったり、だるい痛みだったり自覚している痛みの質や程度が異なります。
また痛む場所も、体の外側や後側、鼠径部などさまざまです。
入浴して痛みが緩解する人もいれば緩解しない人もいます。
朝起床時が最も痛む人もいれば、夜間に痛みがひどい人もいますし、時間関係なく動作開始時に特に痛むという人もいます。
雨天時に痛んだり、気圧の影響を受けたりすることもあります。
そしてその他にも、個々の生活習慣やこれまでの経過を問診し、また身体の診察などをすることで原因を絞り込んでいき、それに応じて鍼灸治療を施します。
現在の症状が出てから病院を受診していないという場合、
坐骨神経痛の症状が慢性的にあり、痛み止めが手放せない、日常生活に支障を感じるという方には、一度病院の受診をすすめることもあります。